私が見ている選手のクラブを組み直していました。

そこで今回は、シャフトをあえて右から挿し、構えた時にフェースが少し右を向いて見えるような方向に調整しました。

右差し調整により、くの字状に見えるシャフトとホーゼル
(C)KIGOLF シャフトとホーゼルの角度をよく見てみると「くの字」に曲がっているのが見えます。ソケットも手削りで角度を調整していきます(荒研磨が終わったところ)
研磨と溶剤処理を終えたソケット
(C)KIGOLF 研磨をして溶剤で表面を溶かし、艶を出して完成

昔は、こうした発想はそこまで珍しいものではありませんでした。

昔は今ほど可変スリーブが一般的ではなかったので、フェースの見え方やつかまり感を調整する手段の一つとして、挿し方を工夫することがありました。

たとえば、

そんな時に、ほんの少し顔つきを変えるという意味で、挿し方を調整するわけです。

特に、球筋そのもの以前に、「構えた時にどう見えるか」。これがスイングに与える影響はかなり大きい。

被って見えるだけで振れなくなる選手もいますし、逆に少し逃げて見えるだけで、思い切って振れる選手もいます。

つまり、これは単なる細工ではなく、アドレスで生まれる心理的な違和感を減らすための調整でもあるのです。

現代は「カチャカチャ」がその役割を担っている

今の時代は、昔のように挿し方だけで調整するよりも、可変スリーブ(いわゆるカチャカチャ)で方向性や見え方を調整するのが一般的です。

ロフト、ライ角、フェース向きの見え方。そういった要素を、以前よりも安全に、わかりやすく、再現性高く調整できるようになりました。

ある意味で、昔やっていた「挿し方で顔を作る」という発想を、現代的にシステム化したもの。それが可変スリーブとも言えます。

ですから、昔の右差し・左差しの発想は消えたのではなく、形を変えて今に受け継がれているとも考えられます。

特に、「左に行く気しかしない」「この顔だと振れない」というタイプには、スペック表の数字だけでは解決しない問題があります。

そういう時に大事なのは、単にまっすぐ刺さっているかどうかではなく、そのクラブが、その選手にとって構えやすく、振りやすいかどうかです。

余談ですが、マジックで影を作りトップラインを変える方法もあります……。

また、全番手同じ方向から刺さっていることも大事なので付け加えておきます。

基本はあくまで正確に組むこと。

今は「まっすぐ挿すこと」を売りにしている工房もあります。それ自体は間違っていません。むしろ基本としては当然です。

なぜなら、組み付け精度が悪いことと、意図を持って微調整していることは、まったく別の話だからです。

精度が悪くて結果的にズレていることと、選手の見え方や球筋を踏まえて意図的に調整していること。これは同じではありません。

基本はあくまで正確に組むこと。そのうえで、必要がある場合にだけ、経験と意図を持って微調整する。

ここが大事です。

AFTER READING

クラブを、身体と球筋につなげて考える

関連する知識をつなげて学ぶか、自分の課題を直接確かめるか。今の目的に合う学び方を選べます。