ゴルフの上達というと、多くの人はスイングやストロークといった技術的な側面に目を向けがちです。しかし実際には、日常の些細な選択や身体への配慮が、スコアに大きな影響を及ぼします。私がこのことを実感したのは、ある生徒さんのパッティング中の視線をトラッキングしていたときのことでした。
「視線の揺れ」よりも気になった「瞬き」の多さ
生徒さんの目の動きを観察していて、最初に気になったのは「視線の揺れ」ではありませんでした。それよりも明らかに、瞬きの頻度が高かったのです。
その理由を尋ねると、「コンタクトレンズをしていて、目が乾きやすい」とのこと。ドライアイの状態では、眼球表面の滑らかさが損なわれ、視線を一定に保つことが難しくなります。実際、この生徒はQuiet Eye(クワイエット・アイ)、つまり「静かな目」の理論を活用し、「最後の2秒間を一点に注視する」という練習に取り組んでいたにもかかわらず、瞬きの多さがその集中を妨げていたのです。
サングラスがOKなら、眼鏡でもいいのでは?
最近では、多くのプレイヤーがサングラスを着用するようになりました。紫外線や眩しさから目を守ることの重要性が広まり、試合中や練習中にサングラスをかけるのはごく一般的になっています。
ひと昔前までは、「サングラスをかけるのはかっこつけ」「レッスン中にかけるのは失礼だ」といった声もありましたが、今では目の保護や集中力維持の観点から積極的に推奨される時代です。
そう考えると、サングラスが許容されるなら、度付き眼鏡の選択肢も自然と浮かび上がってきます。実際、私自身も以前はコンタクトレンズを使用していましたが、現在は度付きのトランジションサングラスに切り替えました。これは紫外線に反応して屋外ではサングラスになり、室内では透明なレンズになるため、非常に使い勝手が良いのです。
眼鏡のメリットは明確です。
- ドライアイの軽減により、瞬きの頻度を抑えられる
- 目の乾燥や刺激が軽減され、Quiet Eyeの実践がしやすくなる
- 紫外線や風、花粉など、外的ストレスからも目を守れる
Quiet Eyeは「目の静けさ」だけではない
Quiet Eyeとは直訳すれば「静かな目」ですが、実際にはそれだけではありません。「静かな意識」や「無駄のない身体」といった要素も含まれており、目の状態はその象徴と言えるでしょう。
もし目が乾燥していたり、まぶたが落ち着かずに瞬きを繰り返しているような状態では、当然ながら身体全体の動きにも影響が及びます。心身の安定性を欠いた状態では、どれだけ技術を磨いてもパフォーマンスは発揮できません。
だからこそ、日々の練習だけでなく、「身の回りの環境や選択肢を見直す」ことが極めて重要です。コンタクトレンズを使い続けるべきか、目薬は適切に使用できているか、サングラスや眼鏡の選択は最適か――こうした一つひとつの判断が、Quiet Eyeの再現性に直結するのです。
最後に:目の管理もゴルフスキルの一部
パッティング技術において、「視線を一定に保つこと」は極めて重要です。そしてその視線の安定を支えているのが、目そのもののコンディションです。
目の乾燥によって瞬きが増え、視線がズレる。すると、フェースの向きやアライメントが乱れ、パッティングの精度も落ちてしまいます。逆に言えば、道具や環境を少し変えるだけで、瞬きの頻度が減り、視線のブレが減少。結果として、安定したパッティングにつながるのです。
目のケアこそ、パッティング精度のカギ。
その気づきが、次なる上達への第一歩になるかもしれません。